第3章 プロジェクト計画書の作成
■3.2 開発のポイント
プロジェクトではさまざまな問題が発生するのが普通です。ここではプロジェクトを進める上で注意すべき技術的な点について学習します。
● 開発の環境
開発のためにどのようなツールを利用するかは、メンバのスキルや経験に依存しますが、開発するシステムの目的や親和性についても検討することが必要となります。
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- 木を切るなら
のこぎり、チェーンソーなど
- 紙を切るなら
はさみ、カッターなど
- Windowsのプログラム開発なら
VisualStudio.Net など
- Webサーバのプログラム開発なら
Java Servlet, PHP など
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● 技術的なポイント
次に、開発の段階で問題になりそうな点について考察します。
既存の技術で実現可能であれば、それらを利用することで開発コストを抑えることができ、プロジェクト推進には大変効果的です。
一方、既存の技術が利用できない場合には、開発が困難となるため、開発コストを多めに見積もることが必要です。一方、新規性やオリジナリティにつながる部分でもあるため、プロジェクトの成果として期待されます。
既存技術が利用できる |
ゴールまでの道のり |
既存技術が利用できない |
開発コストの大幅削減
新規性に欠ける |
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開発コストがかかる
新規性・オリジナリティ |
● 開発の範囲
開発の範囲は、以下のようなさまざまな要因が関わりあって決定されます。
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●ユーザの求める機能
●プロジェクトの期間
●品質
●コスト
プロジェクトの目的を踏まえた上で、これらの要素を満足するように開発範囲を決めていきます。
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● 開発体制
プロジェクトは複数のメンバで活動するため、適切な作業配分が必要となります。作業配分が不適切な場合、一部のメンバに負荷が集中したり、不満がたまるなど、プロジェクト推進上の問題が多く発生することになります。
- メンバのタスクの決定
タスクの決定は必ず全体ミーティングで決定し、メンバ全員が納得することが必要です。
- 仕事の分担
作業量が適切に分担されるように配慮します。リスク回避のために10〜20%程度の余裕を持たせ、勤務時間が超過しないようにします。
- 新人とベテランの組み合わせ
ベテランの適切な指導の元で、新人にプロジェクトを経験させることは、スキルを飛躍的に向上させるため、人材教育としても効果的です。
作業分担時から新人の指導に関わるメンバの作業量についても考慮することが必要となります。
- モチベーションの確保
メンバが自分の担当したい作業について、自発的に選ばせるようにします。プロジェクトに対する、メンバ各自の目標を定めると共に、プロジェクト遂行中は過負荷とならないように注意します。どんなに魅力的なプロジェクトでも作業負担が大きい場合には、メンバは疲れてしまい、プロジェクトに対する意欲を失ってしまいます。
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メンバのスキル、モチベーションを考慮し、
適切な割り当てを行いましょう。 |
● 開発の準備
プロジェクトに最適な開発環境を準備します。
- プロジェクトを運営する資金
プロジェクトの規模から必要となる資金を算出する。
- プロジェクトに必要な物品のリスト
パソコン、ネットワーク、作業場所の確保など、必要な物品のリストを作成し、間違いなく確保できるように調整します。
- 作業場所の維持
プロジェクト期間中はパソコンなどの機器が優先的に利用できるように調整します。メンバには、作業場所の整理整頓に努めさせ、効率的な作業ができるようにします。また、常に機器が利用できるように機器の点検など開発環境を維持することも大切です。
- トラブルの想定
期間的に厳しいプロジェクトの場合には、故障対策のための予備の機器を確保しておくことが望ましいです。万が一の場合の手配先や納期について、あらかじめ確認しておく方がいいでしょう。
- 計画的運用
機器やメンバはプロジェクトを進めるための大切なリソース(資源)です。
スケジュールにあわせて計画的な配置を行い、機器やメンバが効率的に活用できるようにします。
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Tips |
メンバは機械とは違いますので、メンバの意思を無視した作業割り当ては効果的ではありません。メンバの期待する作業と、メンバの持つスキルを総合的に検討し、楽しく作業できるように適切な配置を行いましょう。 |
第2章 プロジェクトの分析手法
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