第4章 プロジェクトの進め方
■4.2 リスク管理
プロジェクトでは、計画通り作業が進むとは限りません。さまざまなトラブルのため予定通りに進まない場合の方が多いほどです。このような状況に遭遇した場合、どのように対処すべきか、あるいは遭遇しないようにするためにはどうすればいいか、について学習しましょう。
● プロジェクトは予定通りに進まない
プロジェクト計画を立てる時点で予測できない問題が発生することはよくあることです。計画の段階でも、問題の発生を織り込んで、ある程度余裕を持たせましたよね?
プロジェクトリーダは問題の発生にあわてたり、作業の遅れている担当者を非難することなく、冷静に対応することが必要です。
● 早期発見・早期対応
プロジェクトの進行状態は、積極的に情報収集を行わないと正確に把握することはできません。デイリーミーティングや定例会などにおいて、各担当者から進行状況の報告を受け、遅れが認められた場合には、スケジュールの再設定や調整などを速やかに行うようにします。
● メンバの管理
遅れや問題を生じた担当者は、それだけで十分なストレスを感じています。場合によっては問題の発生を隠そうとするかもしれません。できるだけ早い段階で問題を解消する方が結果的に全員が楽になるということを全員で認識しましょう。
魅力的なプロジェクトでは、メンバがプロジェクトに積極的に取り組むため、作業が計画よりも速く進むこともあります。こうなれば、そのプロジェクトは成功間違いなしでしょう。しかし、プロジェクトにのめり込むあまり、オーバロードにならないように注意しないといけません。
メンバのモチベーションや体調の管理は、実はプロジェクト管理でもっとも重要なのです。
● リスク発生時の対応シナリオを準備する
プロジェクトに降りかかる問題に適切に対処するためには、あらかじめ想定されそうな問題と対処方法を定めたシナリオを作成しておくことが効果的です。
技術的な問題の発生 |
パソコンやツールの故障 |
メンバに欠員が生じた |
 |
 |
 |
Tips:「デスマーチ化したプロジェクト」 |
デスマーチとは直訳すると「死の行進」という意味で、「破綻する運命にあるプロジェクト」です。開発期間が必要量より少なかったり、必要な開発者がほとんどいなかったりと、もともと無理な要求がされている場合に発生します。
典型的なデスマーチ・プロジェクトでは、無理なスケジュールにより過酷な作業を強いられたプロジェクトメンバがやがて体調を崩したり(過労死に至る場合も)、あるいは退職するものが現れ、そのため開発現場のリソースはさらに不足するという悪循環に陥ります。
スケジュール変更などの会議ばかりが多くなり、人手不足を補うための新規メンバも、教育や訓練、コミュニケーションの工数が不十分となるために戦力化できず、無理な体勢のままプロジェクトは破綻へと向かっていきます。
|
第4章 プロジェクトの進め方
|